- 退去費用がいくらかかるか判断するための流れが分かる
- 契約書に書かれている内容を判断するための知識が分かる
- 契約書に書かれていない内容を判断するための知識が分かる
- よくある疑問や相手側の主張などの事例が分かる
退去費用とは?負担するのは貸主?入居者?
退去費用とは、賃貸物件を退居するときに特約や生活キズ以外の傷・汚れの修繕費用を負担する金額の合計を指します。
入居時の状態(新品等)にする必要はなく、次の入居者を募集するためのハウスクリーニングや鍵交換などの費用は貸主が負担するリフォーム費用となるため、特約に記載がなければ負担する必要はありません。
その判断するために契約書などの書類が必要です。
まずは契約書を探して内容を確認していきましょう。
部屋探しの方は申込までに契約書をもらって特約部分を確認しましょう。
- 契約時から決まっている契約書に書かれた金額
- 契約時に予想できない入居中に壊した等の賠償
入居者負担の契約書の内容とは?
契約書の退去費用と記載された条文や最後の特約と書かれているページ、別紙などの書類をご確認ください。
特約が別紙だったら?
サインをしたら有効になります。逆に重要事項説明書や契約書以外で契約後に渡された場合や退去用紙・入居チェックなどに記載があってもサインをしていない内容は効力がありません。
特約の削除はしてもらえるの?
ほとんどの不動産会社は応じないでしょう。考え方としては
ハウスクリーニング特約ナシと
敷金0ヶ月
ハウスクリーニング特約8万円は
最初の方が安いね
のように、敷金や礼金・賃料と同じ感覚で最初に判断する必要があります。
借りようとしている側が敷金や礼金を安くしてと強要できない「交渉」する内容です。


特約は全部有効なの?
どんな内容でも特約に記載があれば有効ではありません。
最高裁平成17年12月16日判決で消費者契約法10条や原状回復をめぐるトラブルとガイドラインを根拠に特約が無効であるという判決をしています。
ガイドラインと異なる特約を有効にするためには、ざっくりと
- 口頭での説明
- 特約に記名押印
- 具体的な金額の記載
など3つのポイントを判断基準にしています。
口頭での説明
特約は契約前に重要事項説明で宅建士による説明義務があります。
でも録音など記録に残していないと
と第三者からはどっちが本当のことを言っているのか判断ができないので裁判などでも重要視されません。
特約に記名押印
契約書は冊子や本・割り印や表裏1枚など1回のサインで契約内容(特約も含む)内容にサインをする形式が多く、特約も含む内容にサインをしているのであれば有効になります。
その書いてある内容や割り印を無視して特約のページにサインがなければなんでも無効とはならないので内容を確認しましょう。
特約が別紙でサインなしの場合は有効ではありませんので
と、主張できます。
具体的な金額の記載
一番大事なポイントです。
という内容で無効判決をしました。
退去用紙や契約更新の用紙で渡されても契約時に承諾していない内容は2重線で削除して無効を主張できます。
逆に、サインをしていなくても別紙でも説明がなくても契約時に金額が書かれている用紙をもらったなら把握したことになります。
どんな記載が良くて、どんな記載がダメ?
「全額」「一室」
「原状回復の費用」
抽象的な表現は借主がいくら負担するのか分からず、貸主次第で金額を調整できるからダメです。
ハウスクリーニング○○円~
畳1枚 ○○円
など借主がざっくりでも金額を把握できれば特約は有効となります。

トラブル実例

契約書に書かれていない退去費用の請求
契約書ではなく、普通に生活をして出来た傷・汚れを請求されている場合には『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に沿った請求をしてもらいましょう。
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
内容が難しいので重要な部分だけを抜き出すと、
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること
普通に住んで付いた傷や劣化の修繕費用については入居者が負担する必要はなくて借りた当時の状態に戻すものではない。
という内容です。
ガイドラインの17~26ページにトラブルになった時の貸主が負担する退去費用・入居者が負担する退去費用についてまとめています。
請求金額が適正か確認
請求されている金額の明細や型番などを元に相見積もりを取りましょう。ここで大切なのは
ということです。必ず明細を請求しましょう。
一式はダメ!単価や㎡、型番や減価償却率まで記載
同じ工事内容の相見積もりがあれば自分が請求されている金額や負担する㎡範囲が適正かを比較して判断することができます。
ネット依頼だから営業マンと会う必要なし。
最初で金額を確認して依頼できる。
依頼方法 | ネット |
---|---|
保証 | 独自保険加入 |
対応エリア | 日本全国対応 |
退去費用を安く抑えるためのコツ
入居時の状態を確認しておく
入居時にもともとついていた傷などは修繕費用を負担する必要がありません。
新しく賃貸物件に入居するときは、壁や床の傷などの状態を確認しておくことが大切です。
それぞれの場所ごとに注意点も違い、数も多く難しいので『入居チェックアプリ 無料版』を使いましょう。
順番に選んで進むだけで写真の撮り忘れなく家じゅうをくまなくチェック
操作が簡単
入居中や火災保険用の写真記録用にも使える

退去届で知識があることを伝える
ぼったくり請求の牽制や、ぼったくり請求された時に言い訳されないように退去届に記載しておきましょう。
退去費用は特約の有効部分と通常損耗以外のガイドラインに沿った入居者負担分しか認めず貸主負担分の請求は断ります。
請求書には費用を請求する側の証明責任として特別損耗の根拠として退去時と比較する入居時の写真と単価・㎡・減価償却率とを添付ください。
と最初から伝えることでテキトー防止の効果があります。

退去後のやりとりを全て記録する
退去立会いや退去後のやりとりを記録に残すことでぼったくりされた時に証拠になります。
やりとりは全てメールでお願いしながら電話があった時に備えて録音の準備もしましょう。
電話を取ってしまって録音できない場合にはメールで連絡するよう伝えて切りましょう。
それでも一方的に要件を伝えられたら
仕事の都合もあるので必ずメールで連絡するようにお願いしていましたがなぜ電話をされるのでしょうか?
今後は電話ではなくメールで返信ください。
など、電話で誤魔化されないようにしましょう。
普段から掃除とメンテナンスを怠らない
退居時に修繕費用を発生させないためには、普段から部屋を綺麗に使っていくことが大切です。
カビなどを放置するとフローリングやクロスが腐ったり変色することもあります。

退居時に綺麗に掃除する
退居時にできるだけ綺麗な状態にしておくことや残置物を残さないことで、過去費用を安く抑えることに繋がります。
換気扇や排水溝などの汚れは、専用の洗剤を使ってできるだけ落としてから退居しましょう

過去費用をぼったくられないための基礎知識 まとめ
- 生活キズ以外の傷・汚れや有効な特約は入居者が負担
- 生活キズや設備等が劣化の修繕費用は貸主が負担
- 退去費用を最小に抑えるためには普段から綺麗に使うことが大切
- ぼったくりを防ぐには記録に残すことが一番の対策
良くある入居者側の質問・貸主や管理会社の主張
入居者側の質問
「契約時にそんな説明はなかった」
説明が無かったという録音などの記録がありますか?
相手側が「説明しました」と言われたら第三者にはどちらが正しいか判断できないので判断材料にはなりません。
「割り印が無いから無効では?」
契約書が1枚・裏表・一冊・製本や
「契約の内容に承諾してサインする」
意味合いが書かれていてサインをしているのであればその内容は有効です。
のような主張はクレーマーなので注意!
「2~3万円って具体的な金額?」
ざっくりでも費用を入居者が把握していることができれば有効です。
このような主張はクレーマーなので注意!
貸主や管理会社の主張
「退去費用の具体的な金額は解らないので記載できない」
キチンとした不動産会社はしてます。そのやりとりをメールなどで記録に残して退去時に
と特約の無効を主張する際の証拠に追加してはいかがでしょうか?
「具体的な金額がなくても有効だ!」
金額の記載が無くても有効・無効を判断するのは裁判判決や調停で不動産会社や弁護士ではありません。
発言を録音やメールで記録に残した上で、
など、根拠のない発言をした証拠として記録しておきましょう。
「勝手に敷金から差し引いて振込みました。」
自力救済禁止の原則を破った民法上の不法行為(民法709条)です。
法テラスの無料弁護士や不動産協会などへ相談しながら訴える準備をしましょう。
裁判など公的に会社名が公開されますので裁判結果も含めて口コミして悪質業者を選ばないようにすることをオススメします。
当法人の口コミページでも紹介しますのでご連絡ください。

「保証協会に依頼します。」
保証会社への代位弁済は入居者が費用を認めることが必要です。
この発言は悪質な犯罪行為ですので証拠として残しましょう。
警察へ被害届を検討する内容です。
